認知症とは「正常であった脳の知的な働きが低下し、日常生活に支障を生じた状態」をいいます。加齢により、もの忘れは多くなってきますが、これは脳の老化の一つで自然現象です。しかし、「認知症」になると体験や出来事の記憶すべてを失ってしまったり、忘れていることすら忘れてしまうことがあります。これは単なるもの忘れではなく、れっきとした脳の病気です。
もの忘れ | 認知症 | |
---|---|---|
原因 | 加齢により生じる | 病気により生じる |
もの忘れの自覚 | あり | ないことが多い |
記憶障害 | 体験の一部を忘れる 何を食べたのか忘れる |
体験そのものを忘れる ご飯を食べたことを忘れる |
生活への障害 | なし | あり |
もの取られ妄想 | なし | 伴うことがある |
※認知症の症状は本人よりも周囲の人(家族など)が気づくことが多いです。以前と何かが違う・その人らしさがなくなった・出来なくなったことがあるなど、小さな気づきが早期発見の手掛かりとなります。
認知症の原因となる病気には、大きく分けて「アルツハイマー型認知症」と「脳血管性認知症」があります。
日本では「アルツハイマー型認知症」が大部分を占めています。
認知症の症状は「中核症状」と「周辺症状(BPSD)」にわけられます。
中核症状とは、一般的に認知症の方に必ず現れる症状をいいます。
(症状)見当識障害・実効性機能障害(判断力の障害)・失語・失認・先行・記憶障害
中核症状の記憶障害・見当識障害・実行機能障害などから二次的に起こる症状をいいます。必ずしも認知症状のある全ての人に出現するわけではなく、家族など周囲の対応といった環境要因が大きく作用します。
「興味をもって接する」・「訴えを否定せず受け入れる」・「何を訴えたいのか?(傾聴)」というように、認知症だからしょうがないではなく、その人らしく健康な生活をおくれるよう、相手を理解しようとする姿勢によって、周辺症状の出現が左右されます。
軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)とは、健常者と認知症の中間段階にあたるいわばグレーゾーンを指します。認知機能のうち1つの機能に問題が生じてはいるものの、日常生活には支障がない状態のことです。MCI の判断基準は、まだしっかりと確率されていませんが、おおむねの判断基準としては以下の5項目があげられます。
これらの全てに当てはまったときは、注意が必要です。
MCIを放置すると、認知機能の低下が続き、5年間で約50%の人が認知症へと進行すると言われています。MCIは適切な治療・予防をすることで回復したり、発症が遅延したりすることがあります。早期にMCIに気づき、認知機能低下に対する適切な対策を行う事で認知症の症状が最後まで出ずにすむケースもあります。
少しでも気になる場合には、セルフチェックだけではなく、当院にご相談ください。
□探しものばかりしている
□食事の用意ができない
□元気がない
□部屋の中が汚い
□外出する回数が減った
□買い物に行くといつも同じ物を買ってくる
□すぐ忘れてしまい何度も同じことを聞く・話す
□最近のことは忘れてしまい、昔のことしか話さなくなった
□料理手順が分からなくなり、今までと味付けが変わった
□電化製品(炊飯器・洗濯機など)の使い方が
分からなくなった
□曜日・時間が分からない
□状況の変化についていけない
□季節にあった洋服選びが出来ず、いつも同じ服
□怒りっぽくなった
□黙ってテレビばかり見ている
□人名などを思い出せない
※チェックが多い方は認知症予防を取り入れるなど、生活改善に心掛けましょう。気になる方は、認知症疾患医療センターにご相談ください。 ⇒ご相談はこちら